近現代の日本人作曲家の20枚組ボックスセット

NAXOSから今までに出ていた日本人作曲家20人ほどのCDを20枚選んでセットにしたもの。片山杜秀エディション「日本作曲家選輯」。10800円。山田耕筰から武満徹まで網羅してある。

まあ、日本人作曲家の曲なんかほとんど知られていないだろう。中学なんかの音楽の時間に聞いた越天楽の編曲ものとかが聞かれてるぐらいか。例外的に、伊福部昭のゴジラの曲とは知られているが。名前は知ってても曲は知らないというのが、普通の日本人だろう。勿論私もそうだが。

前から気になってたのだけど、結構数が多くてどれから聞けばいいか分からない。ま、なんでも聞けばいいのだろうけど、戸惑ってしまう。これが普通のクラシックだと、運命・未完成とかピアノ・ソナタ月光・熱情・悲愴なんて典型的なのがあるのだけれど。去年たまたま行った日本人の歌手のコンサートで、林光作曲の小オペラ「あまんじゃくとうりこひめ(天邪鬼と瓜子姫)」を聞いて(→ページ)、なかなかおもしろいもんだなあと思って、他のも聞きたいものだと思っていた。今回まとまったものが出ると聞いて予約していたのが来た。

20枚セットでかなりぶ厚い解説がついている。1枚500円。セットものとしてはやや高い(笑)。最近は1枚100円とか200円ぐらいだからね。安のはいいけど、それを聞く時間がない。昔は逆で聞くものがなかったのだが。で、全部は聞かないケースが多い(笑)。だいたい似たようなものがセットになってるから飽きてしまうし。これは全部聞かないといけないなあ、と思ってる所。ま、今更聞いても何がどうなるというわけでもないが、取りあえずは一定の評価のあるものをを聞かないと話にならない。骨董屋もいいものを見ることから始まるというし。そうでないと、あの佐村河内騒ぎのような事が起きる(笑)。→ ページ

ま、あの問題を別にバカにしてるわけではないが(笑)、やはりあれはまともに音楽ってものを聞いてなかったことから起きたのではないかなあ。付属する物語、有名人の賛辞、メディアの持ち上げ、そういったものに影響されてたのだろう。動画に残ってるのを見ると、観客がスタンディングオベーションをしてるからね。ま、バカにしてるわけではないが(笑)。賞賛したいと思ったらすればいいわけで。しかし、それを壇上で平然と受ける佐村河内もたいしたもん。役者やねえ。ただ、返す返すも残念なのは、あの騒ぎ以前に彼の曲を聞いてなかったということ。聞いてて、おかしいとか思ってれば自分の耳に自信が持てただろうに。評判通りに素晴らしいとか思ってたなら、あんまり良い耳じゃないなと断定できただろう。耳の検定にこれほどのチャンスはなかった。もう二度とないだろう。ほんとに残念。ただ、後付けではあるが、聞いた感じでは、あまりいいとは思えない。各部分のつながりが弱いのだ。映画音楽のように色んな楽想が流れていく。有機的でない。実際に作曲した新垣氏も本気で作ったわけではないようだし。ま、あとからの感想ではあるが。

で、このセットの事だが、1枚めは有名作曲家のを集めたアンソロジー。大体、日本の民謡や祭りの曲からモチーフを取った曲が入ってる。2枚め以降が作曲家単位のCD。適当に選んで聞いてみる。

CD10、伊福部昭
1-3.シンフォニア・タプカーラ(1954、1979改訂)
4.ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ(1961、1971改訂)
5.SF交響ファンタジー 第1番(1983)


これは面白いと思った。この人のはゴジラでも分かるけど、リズムに特徴がある。これらの曲には直接日本的と言えるメロディーはないのだが、情念において日本的というのか、土俗的なものがあって、聞いてて面白い。心地よくて、酒の肴になる(笑)。時折入る懐かしいメロディーが中々いい。特に1曲めはいいなあ。三曲目は、ゴジラシリーズのモチーフを使ったコンサート曲。

解説書によると、この人は完全に独学で作曲の勉強をしたらしい。そして北海道の林業管理官をやっていた21歳のときに作った曲、「日本狂詩曲」がパリのコンクールで優勝した(1935年)。その時点では国内では全く知られていなかったとか。大変な才能の持ち主だったんだろう。北海道でアイヌの音楽などに触れたのが大きかったらしい。この曲はCD1にあるが、日本風な旋律を使いながらも、内に籠もった情念の表現が素晴らしい。くすんだ音色のビオラに乗る主旋律とそれを背後から執拗に支える打楽器群。はるか昔から続く日本的感性なのだろうか。この曲を選んだ人の炯眼は讃えられるべきだろう。

CD14 早坂文雄
1-2.ピアノ協奏曲(1948)
3.左方の舞と右方の舞(1941)
4.序曲 ニ調(1939)


ピアノ協奏曲が素晴らしい。敗戦の悲しみをこれほどに表した曲を他に知らない。当時の人の悲しみを素直に表していると思うが、意外にこういうのはないなあ。戦争関係は全否定の時代だったし。あの戦争は間違いであったと散々に言われてきたが、しかし、当時の人達は白人の支配する世界の中で足掻いていたのだ。それが霧散した気分がよく分かる曲だ。クラリネットの虚ろな響きのソロが醸し出す雰囲気は格別だ。思えば私は子供の頃、教師の誘導にのり、日本は負けて良かったと親の前でいったものだ。その時父親が奇妙な表情をしたのを今でも覚えている。父親は戦争時軍務についていた。全く違う意識の中で生きていたのだ。もはや謝るすべもないが。


続く

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