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BABYMETAL再考(4)・・・英語はダメゼッタイ

目次(長くなったので、いくつかのページに分割しました)
BABYMETAL再考(1)※ メタル音楽について、※ 日本文化における女性性、幼児性について
BABYMETAL再考(2)※ ボカロとの関連性
BABYMETAL再考(3)※ 振り付けに付いての雑感
BABYMETAL再考(4)※ 英語はダメゼッタイ
BABYMETAL再考(5)※ ファン層についてちょっと考えた


これは難しい話になるし、確定的な答えは出ないとも思う。しかし、私の結論は決まっている。理屈以前に。
英語で歌うのはダメ、という事。もちろん、オリジナルについてであって、元から英語の曲はそのままでもいいが。
あるいは、外国人が日本語の歌を好きに訳して歌うのもいいだろう。しかし、日本人が外国にアピールしたいからといって英語で歌うのはおかしい。これについては幾つもの理由がある。どれから言えばいいのか分からないが。

ざっと思いついたものでは、

☆1、そもそも完全な翻訳は不可能
☆2、言葉の構造が違う(母音、子音の構成など)
☆3、日本人は日本語に縛られていて、英語で感情表現はできない
☆4、外国人がそもそも日本語以外を望むのか


☆2、言葉の構造が違う(母音、子音の構成など)

思いついたものから書いていくと、☆2に関すると思うが、例えば、「さくらさくら」という曲がある。その出だしを、
"cherry blossom、cherry blossom"と歌って歌になるのか。まあ、聞けなくはないだろうが、誰だって変に思うだろう。
それはメロディと歌詞があっていないから。
「さくら」、という言葉の中には、子音3個、母音3個がある。もちろん、音符も3個である。母音を音符の長さだけ伸ばす。
"cherry blossom"という言葉には、子音6個、母音4個がある。これだと上手く音符に乗れない。しかも子音で流れが分断される
最初から英語で作っておけばいいという話にはなるが、それは、☆3に抵触する。
歌というのは、理屈を歌うのではない(笑)。感情の表現であるのは、自明だろう。

これがドイツ語になれば、さらに子音が増えて日本の歌の特徴である、母音を伸ばす歌唱が難しくなる。またゲルマン語系には音節を子音で閉める閉音節が多く、日本語のように母音で終わる語が少なくなる。最後を子音で終わらないといけない。上の例だとm音で最後を閉める。らーと伸ばして終わるのとは、それだけでも印象がかなり変わる。イタリア語、スペイン語なら近いと思うが、今度はアクセントの問題が出てくる。日本語の高低アクセントでなくて、長短アクセントになる。だから意味さえ同じならいいだろうというわけにはいかない。

スーメタルの歌唱というのは、ストレートに音を伸ばす所に良さがある。早口言葉なども入ったりするが、基本はそちらではない。民謡などで、「はあー」などと高音を伸ばす、あの歌唱のスタイルが基本にあると思う。→ 「スーメタルの音声周波数分析」のページ
日本語に特化した声であろうと思う。まあ、イタリアオペラのアリアなどは聞いてみたい気もするが。「ある晴れた日に」とかどうだろうか。

☆3、日本人は日本語に縛られていて、英語で感情表現はできない

☆3については、おそらく異論はないだろう。もちろん世の中にはバイリンガルなんて人もいるから、日本人であっても英語での感情表現はできるだろうけど、それは一般的ではない。バイリンガルの人だってメインに使う言葉はあるのだろうと思う。

詩や歌を外国語で書くというのはもうそれだけで胡散臭くなる。なんで日本語にしないの?って疑問がわく。もちろん英語の達人でどんな感情表現をも理解出来、また逆に表現できるという人もいるだろうけど、それが同時に、歌手あるいは作曲家であるというのもそうはないケースだろう。またそのためには常に英語の環境で生活していないと生きた言葉にならない。日本人としてはそれはないものと思う。

☆1、そもそも完全な翻訳は不可能

☆1については、これは專門が音楽からかけ離れてしまうので、自分としてはできないが、補足的な事項なら書けるだろう。

昔、「王様」というバンドがいた。英米のロックの歌詞を「直訳」してそのメロディに押し込み、無理やり歌うという事をやったバンドで、一時期人気が出た。私もCDを買った(笑)。理屈で言えば、まっとうな事をしたのだ。ちゃんとそのまま訳して(笑)、歌ったわけで。しかし、これをまともな音楽として聞いた人はいるのだろうか。大方はギャグとして聞いたのではないだろうか。もちろん私もだが。

しかし、それがなぜギャグになるのか。これは一つの問題だ。直訳してもダメなのだ。なぜなんだろう。上に書いたような音韻の問題もあるし、そもそも「直訳」というのがおかしい。直訳なんて不可能なのだ。単語の意味は文脈に依存する。外国語の似たような単語と1対1の対応をしているのではない。例えば、”boy” と「少年」とは意味が異なる。かなり重なるが明らかに違う使い方がある、たとえば、cowboy のように。これを「雌牛少年」と訳したら意味不明だ。この辺りは、日本人にも感じられるようで、これを察知したような使い方がある。例えば”山ガール”のように。ここで言うガールは明らかに少女ではない(笑)。おばさん、おばあさんが主体だろう。だから決して、山少女とは言わない(笑)。

詩を外国語に訳すというのはよくなされている。私も、サイモンとガーファンクルの歌を幾つか訳した。→ HP。また、その他の分野もこのブログにある。→ 洋楽の歌詞翻訳など
訳すだけならなんとかなる。しかし、それを元のメロディの載せるとしたら、また別の配慮が必要になる。相当に難しい、というか事実上不可能だろう。だから歌を訳すときには全く違った意味になる場合がある。

以前、文部省唱歌の「追憶」などのページを作った時に調べたのだが、元の歌と相当異なってる。
「星かげ優しく、またたくみそら」の「追憶」は、旧約聖書詩篇の、ユダヤ人たちの苦難と恐怖を描く歌詞だった。
「木枯らしとだえて」の「冬の星座」は恋愛ソングだった(笑)。
「月なきみ空に、きらめく光」の「月の界」は賛美歌だった。

相当に苦心すれば、対応するような歌詞は作れるのかもしれない。しかし、音韻と単語の意味範囲を考えればかなり難しいだろう。

☆4、外国人がそもそも日本語以外を望むのか

こういった困難があったのを知ってか知らずか、ベビーメタルは、日本語のまま、言語の壁を突破した。実に素晴らしいことだ。
かつてあったこういった例は、坂本九の「上を向いて歩こう」と、いくらかのアニメの主題歌ぐらいではないだろうか。そしてそれらは世界に広まった。こちらが正しかったのだ。最近海外ツアーをやっているボーカロイドも日本語のままだろうと思う。今まで、英語で曲を作り、欧米に打って出た歌手は何人もいると思う。しかし、ほとんどが失敗した。バンドの演奏の力でなんとかやれた人はいたらしいが。英語にする必要はなかったのだ。

ベビーメタルは日本語のままで成功している。それが現実だ。そこに無理に英語の歌をいれるべきではない。

ちょっと変わったデータがある。ベビーメタルのセカンド・アルバムの外国での人気投票をグラフにしたもの。リリースされてから半年後に、好きなのを一人3曲選んだ結果。
5d0a9d4f.jpg
  → 元のサイト元のサイト魚拓

この中で英語ナンバー2曲の人気の低いのが目につく。それは、真ん中辺りにある、From dusk till dawn であり、下から二番目のThe One (English version)である。それはその下の、Japanese version よりも低い。母数が少ないから、これで決定的な事は言えないにしても、傾向はわかるのではないだろうか。英語の曲は必ずしも期待されてないのだ。



続く


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