FC2ブログ

橘中佐-文部省唱歌

これも当然戦後は教科書から外されている。曽我兄弟の歌同様、講談社文庫の「日本の唱歌」で知った。
また、やはり動画サイトには見つからない。同名の軍歌はあるのだが、唱歌の方はない。

こちらのサイトに、ダークダックスの演奏で載っている。ただし、アクセスするだけでダウンロードされるので注意。演奏は素晴らしく、聞く価値は十分すぎるほどあるが。
また、こちらのサイトには楽譜と歌詞がある。

その歌詞

 橘中佐 (岡野貞一 作曲)

一、かばねは積りて山を築(つ)き、
  血汐は流れて川をなす、
    修羅の巷か、向陽寺(しやおんずい)。
    雲間をもるる月青し。
二、「みかたは大方うたれたり、
  暫く此処を。」と諫むれど、
    「恥を思へや、つはものよ。
    死すべき時は今なるぞ。
三、御国の為なり、陸軍の
  名誉の為ぞ。」と諭したる
    ことば半ばに散りはてし
    花橘ぞかぐはしき。


生々しい歌詞に綺麗なメロティーが付けられ、それを小学校4年生に歌わせていたというのも、面白いというのか不思議な気がする。日露戦争で最初の日露の陸軍主力の戦いとなった遼陽会戦での橘中佐の戦いを描いたもの。日露戦争は1904年2月に始まり、日本は遼東半島や朝鮮半島から陸軍を上陸させて、満州南部の交通の要衝、遼陽に東方と南方から迫った。日本軍13万に対し、ロシア軍は16万の軍勢で遼陽を守ろうとして戦いは起き、8月末から9月初めまで続いた。旅順攻撃に割かれた乃木大将の第3軍以外の部隊が参加している。

橘中佐(当時は少佐)は、日本軍左翼の第二軍第三師団歩兵第34連隊第一大隊長として参加した。それより前は東宮付きの武官として後の大正天皇の近くに仕えていたが、日露戦争が始まると第二軍付き将官として出征し、自ら前線での戦いを希望して大隊長となった。首山堡の戦いがあった8月31日は、大正天皇の誕生日であった。

遼陽南方前面には、首山~148高地~北大山と続く高地があって、遼陽防衛の最終ラインとなっていた。そこを占領すれば、遼陽が眼下に見られるという要地。グーグル・アースだとこの辺りか。右上隅が遼陽市、中央やや左が首山、その下辺りが148高地、向陽寺地名表示の上が北大山か。

31日未明、南方の第四軍、西南方の第二軍はこの高地に一斉に攻撃を開始したが、泥濘などに足を取られて進めず、橘少佐の部隊だけが、148高地に取り付いた。しかし、ロシア側の高地からの砲撃で甚大な被害を受け、少佐自身も致命傷を受ける。児島譲の「日露戦争」では、次のように記述している。

>[午前五時20分] 大隊長橘少佐は、「情況益々非ナリ」と判断して、突撃を下令して敵塁にむかって斜面をかけのぼった。飛弾が軍刀の鍔をくだき右腕を貫通したが、少佐は刀を左手にもちかえ、胸墻を躍りこえて敵壕に突入した。第四中隊、さらには第一、第二、第三中隊からも躍起する将兵がつづき、少佐は、その勢いを活用して、第四中隊長中村昌中尉指揮の約50人に、敵の第一塁を奪取させた。
・・・
>[午前五時45分] 橘少佐は、戦況を打開すべく、約20人をひきいて頂上をめざしたが、死傷者を斜面に残して第一塁に後退せざるをえなかった。
・・・
>橘少佐らがたてこもる第一塁には銃砲弾がふりそそいだ。
「伏屍累々山を被い、鮮血漾漾壕に満つ」
とは、軍歌「橘少佐」の歌詞であるが、この表現に誇張はなく、橘少佐は、突進のさいの右腕負傷のほかに腹部、胸部、大腿部に被弾した。
・・・
>橘少佐は、流血で「血達磨ノ如キ姿」で塁内に立ち、敵を撃攘せよ、現位置を固守せよ、と号令していたが、至近に炸裂した砲弾の破片で腰部をえぐられ、倒れた。
大隊書記内田精一軍曹は、・・・少佐を背負い下山した。
その途中、一弾が少佐の背から軍曹の胸部を経て左腕を貫通し、軍曹は昏倒した。
・・・
>この間、橘少佐は、しきりに戦況を訊ねていたが、午後六時30分、次のように遺言して絶命した。
「本31日ハ、皇太子殿下御誕生ノ佳辰ニ相当ス。斯佳辰ニ於テ予ノ戦死スルハ名誉ニシテ、又最モ満足スル所ナリ」


確かに、軍神と言われるに相応しい戦いぶりである。しかし、この攻勢は失敗し、戦線は膠着状態に陥り激戦はその日一日続いた。橘少佐の属していた第34連隊は、連隊長も死亡し、崩壊状態となるほどの打撃を受けている。歌詞の中にある、向陽寺(しやおんずい)は、北大山直前にある激戦地。
所がその間、日本側右翼にあった第一軍が、渡河してロシア側の左翼側面に回ったため、退路が絶たれる事を危惧したロシアの将軍クロパトキンは撤退を決め、9月1日未明、高地は日本軍が占領し日本側の勝利に終わった。

遼陽の戦いについてはこちらのサイトに図示されている。


しかし、歌詞の悲惨さに対して、ダーク・ダックスの歌い方の優しい事(笑)。全く軍歌風ではない。もう1つの「橘中佐」は完全な軍歌だけど、これは悲愴で重々しい。この歌は昔のニュース映画で、葬送行進曲のように使われてたのを聞いた気がするんだが、探しても見つからない。

最近ではこういったコーラスグループはあまり表に出る事がなくなってる。つまらないアイドルとかばかりが出ている印象。ああ、BABYMETALは別(笑)。昔はダーク・ダックスやボニー・ジャックス、あるいはアメリカのブラザーズ・フォーなんていうグループが活躍して、ヒット曲などもあったものだが。いつ頃からかなんだか音楽業界が歪んで来ている印象。
スポンサーサイト

テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kifuru

Author:kifuru
FC2ブログへようこそ!
元のHPは"kifuruの長文系ページ"、http://kiyo-furu.com (政治詩文関係)と ”kifuruの写真音楽系ページ http://www.kiyo-furu.sakura.ne.jp/(写真音楽関係)に移転しています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR