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冬景色

あまり音楽が好きじゃなかった自分が、音楽の時間で最初に好きになった曲。小学校5年だったか。



1.さ霧消ゆる湊江(みなとえ)の
舟に白し、朝の霜。
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず、岸の家。

2.烏(からす)啼(な)きて木に高く、
人は畑(はた)に麦を踏む。
げに小春日ののどけしや。
かへり咲(ざき)の花も見ゆ。

3.嵐吹きて雲は落ち、
時雨(しぐれ)降りて日は暮れぬ。
若(も)し灯火(ともしび)の漏れ来(こ)ずば、
それと分かじ、野辺(のべ)の里。


歌詞も曲もいい。
この歌詞の何がいいかというと、田舎をあまりに美化していない事。昔の唱歌には田舎の生活の美化があった。私は実際にド田舎に住んでいたので(笑)、そういった美化は気に障ったものだった。田舎の生活というのは、侘しいものだったのだ。ただ、それはこの曲が作られた明治大正と昭和の戦後との違いのせいかもしれないが。日本が高度成長時代に突入して、都会が栄える一方では、田舎は昔ながらの生活をしていた。サラリーマンの給与は増えても、米の収穫量や魚の水揚げが増えるわけではない。ただ、華やかになっていく都会を遠くから見ているという状況だった。

明治大正の田舎と都会の違いが実際どうだったのかは知らない。しかし、都会人が田園生活を美化し、憧憬をこめて描くというのは、近代西欧の文学作品でもあったことだし、唱歌に出てくる美化も似たようなものだったのではないかと。
「我は海の子」にある、「煙(けむり)たなびくとまやこそ我がなつかしき住家(すみか)なれ。」とか典型的。実際に貧しい家に住んでる人は、こんな暮らしから抜け出て都会に出たいと思ってただろう。

「おお牧場は緑」の中の「よくしげったものだ」。私はこのちょっとした言葉にも腹を立てていた(笑)。都会人にとっては草が繁茂するのは好ましいイメージなんだろう。しかし、田舎では雑草とか邪魔なだけである。庭も道も畑も草が生えまくるのだ(笑)。蛇やムカデも這い回ってたりして。

しかし、この「冬景色」は、田舎の生活をそのままに歌っていながら、それでいて詩になってるという所が良かった。特に2番なんかそのままだった。
また、3番の、

若し灯火の漏れ来ずば、
それと分かじ、野辺の里。


という所。ほんとにそんな村だった(笑)。夜に旅人が通りがかったら、気付かずに通り過ぎたかもしれないというような村だった。
ただ、この歌詞の中で一つだけ問題がある。それは一番の、

ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず、岸の家。


の部分。漁村の生活はまだ暗いうちから始まる。僕ら子供が起きた時にはもう漁が終っていて、漁師は帰ってきていた。明るくなったのに、いまだ覚めず、はありえない。もし漁師を業としているならば。

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テーマ : 音楽
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Re: 漁村かどうかは?

ご指摘ありがとうございます。
そうですか、川辺ですか。そういうのは言われないと思いつかないですねえ。
海辺だと思いこんでますからね。
youtubeにアップされてるこの歌の背景画像も、海が多いようです。
どうしても「湊江」という言葉からそういう方向に行きます。
漁村とは限らないというのは、確かにその通りです。

ただ一方で、歌詞からは川辺とも断定は出来ないともいえます。
この曲の作者ははっきりしないようですが、当時の文部省の官僚なんでしょう。
想像で作った歌だろうと思いますが、ただ、3番の下2行を見るに、農村あるいは山村出身ではないかと。
ああいうのは、実際に経験しないと出てこない言葉ではないかと思います。
漁村の事はあまり知らなかったのかも。
ま、どこの漁村でも朝早いとは限りませんが。魚種によっても違うかもしれません。

おそらく、この歌は田舎の静けさを描こうとしたのではないかという気がします。
鳥や自然の音は描かれても、人の声は描かれてない、というちょっと不思議な歌ではあります。

まあ、唱歌について全然詳しくはなくて、ただの思いつきで書いただけですが、唱歌というのは、結構大事な存在ではないでしょうか。
日本中で歌われたわけで、日本人の感性を作ってきたのには違いないと思います。
また、何か思いついたら書きますので、是非お読みください。

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