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ジョージセルの指揮した「タンホイザー」、54年、Met、ヴァルナイ他

最近、”Wagner at the Met”というボックスセットを買ったのだが、その中にあった。30年代~50年代のメトロポリタン歌劇場で演奏されたワグナーの主なオペラ演目をセットにしたもの。歌手は当時の超一流を揃えている。フラグスタート、ヴァルナイ、ロスアンへレス、メルヒオール、グラインドル、ホッター、スバンホルム、他

まだ全部は聞いてないが、セルの「タンホイザー」が中々面白かった。セルが指揮したワグナーの全曲盤が他にあるかどうかしらない。有名な管弦楽曲集はあるが。検索したら、ワルキューレもあるらしい。普通はセルとワグナーのイメージは合わない。官能的で息が長く、うねるような音楽のワグナーと、引き締まったスタイルで颯爽と指揮するイメージのセルは全然会わない(笑)。しかし、これは面白かった。

メンバーが当時のトップクラスという事もあるが、贅肉をそぎ落としたようなセルの指揮が意外にあっていた。後のブーレーズ指揮にも通じるのかもしれない。序曲など、まるで、前期古典派の交響曲のように室内楽的でテンポが速い(笑)。しかし、これが実に情熱的で終った途端に喝采を叫びたくなるように気持ちのいい物だったのだ。実際、序曲が終ると聴衆から大拍手がおきている。

ちなみに、そのスタイルにあわせたのか、初版に近いドレスデン版を使っている。あまり普段聞くことのないものなので、ちょっとびっくりする面はある。最初の方の官能的なバレーシーンはなく、序曲がおわると突然ベーヌスとタンホイザーの会話が始まったり、序曲自体も何か響きの違う部分がある。

勿論、歌わせるところはしっかり歌わせていて、何も問題はない。とりわけ第三幕は開始から、巡礼の歌、エリーザべトの祈り(M.ハーショー)、夕星の歌(ジョージ・ロンドン)や、ローマ語り(主役はラモン・ビナイ)、などテンポを落として十二分に歌わせている。演奏も劇的で申し分ない。中では、エリ-ザベト役の、Margaret Harshawが、良く通る強い声で歌ってるのが印象深い。あまり知らない歌手ではあるが、METの常連だったらしい。このセットの中では、ラインの黄金でフリッカも歌っている。

羊飼いを歌うロベルタ・ペータースって人も良かった。ビブラートの少ないストレートな綺麗な声。私が始めてみたオペラというのが実は二期会のタンホイザーだったのだが、そのとき羊飼いを歌ったのは、斉藤昌子さん。今でも記憶に残ってる美しい声だった。岩場の上に牧童の姿で座って、ほんとにまるで少年のように清んだ声で歌っていた。もう何十年も前の事で、他のメンバーが誰だったかは忘れたが、この人だけは覚えている。

メンバー
Tannhauser..............Ramon Vinay
Elisabeth...............Margaret Harshaw
Wolfram.................George London
Venus...................Astrid Varnay
Hermann.................Jerome Hines
Walther.................Brian Sullivan
Heinrich................Paul Franke
Biterolf................Clifford Harvuot
Reinmar.................Norman Scott
Shepherd................Roberta Peters

Conductor...............George Szell

録音もいい。最近30年代、40年代あたりのものをよく聞くが、声に関する限り、古くても全然問題無い。第1幕と第2幕の最後の辺りの重唱も聞き苦しいという事もない。実はこのセットの中で一番期待してないものだったのだが(笑)、とても良かった。
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