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イブリー・ギトリス演奏会@紀尾井ホール5/6

ギトリスのVn演奏会に行ってきた。(これは2014年5月6日の時のものです)
席は舞台のそでの二階、演奏者を上から見下ろす位置。
まずはじめに出した音のふくよかで豊かな響きにびっくりした。録音で聞いてるものとはやはり違う。
中高音は流麗で、高音は繊細。
ただし、席の具合なのか、音量は弱く聞こえてない時もあった。
また、やはり年のせいなのか、速いパッセージでは若干心もとない印象があった。

1曲目はヒンデミットのVnソナタ、op11-12楽章制、第二楽章の幻想的な雰囲気がおもしろい曲だった。ギトリスは弱音で、しかし表情豊かに弾いてた。第1楽章は現代音楽風に入るのだが、途中叙情的な旋律も出てきていて、そういうところの繊細さがよかった。

2曲目は、ベートーベンの「春」ソナタ
第2楽章の歌心、第4楽章の流麗さが印象に残った。ただ、第1楽章の速いパッセージではやや心配な感じ。第1楽章は立って弾いて、第2楽章から座ったのだが(他の大部分の曲も座って弾いた)、そのとき、伴奏者が譜面台を下げてやっていた。なんだか、人の良さそうな人で、譜めくりの人に合図を送るときも笑顔でタイミングを知らせていた。

以上で前半終わり。
休憩のあと、伴奏者によるピアノソロが2曲
コミタスの「春」
全く知らない作曲家。パンフレットによると、トルコに生まれたアルメニア人。教会音楽を作っていたが、第一次大戦の時に、トルコ政府の弾圧にあい収容所に入れられ、生きて出られたものの精神を破壊されたらしい。
まるで、尽きることのない嘆きのように、地を這うようなメロディーが繰り返される。

ハチャトリアン「トッカータ」
私はどちらの曲も知らなかったので、すぐに続けられたこの2曲は、前奏曲とトッカータのような一つの曲かと思ってしまった。実際、そんな狙いでくんだのだろう。
こちらは、前の曲とうってかわって、フルボリュームのジャジーな印象の派手な曲。所々民謡風なメロディーが入る。

このハチャトリアンもアルメニア人なのだが、実は伴奏ピアニスト、ヴァハン・マルディロシアン自身がそうらしい。自国の作曲家を紹介する意味で選んだのだろう。演奏者としては非常に良い印象を受けた。この二曲もよかったが、その後の小品集でのあわせ方が柔軟でしかも着実。音色も柔らかく綺麗。CDで出ている小品集の「ギトリス名曲アラカルト」の伴奏者は、この人に比べたらちょっと固くて一本調子な印象がある。

この後が、お待ちかねの小品集プログラム。ピアニストと話し合いながら、聴衆に冗談をいいながらリラックスした感じで進めていく。残念ながら私はあまり聞き取れなかったが。1階席の聴衆は沸いてたのだが、2階席はあまり反応がなく、ほかの人もあまり聞き取れなかったのかもしれない。聞き取れたのは、チャウシェスクじゃなくて、チャイコフスキーだよとか、伴奏者はまだ40歳だよ(ええー?という反応(^^;)、みたいなところ(笑)。

1曲目はパラディスのシシリアンヌ
叙情的な佳品。とてもよかった。ふと陰る部分の表情の付け方などすばらしい。

2曲目は、ブラームス、F.A.Eソナタよりスケルツォ
これは速いパッセージの曲なのだが、しっかり固めの響きで弾いてた。

3曲目、チャイコフスキー、なつかしい土地の思い出、op42
これもよかった。叙情的な曲は良い。まさに何かを語るように弾いている。満足した。できれば「感傷的なワルツ」をやってほしかったが。

4曲目、パガニーニ、カンタービレ
これはあまり記憶にない(笑)

5曲目、クライスラー、シンコペーション
かなりアクセントを強く、おどけた調子で弾いていた。特に最後の音を思い切り引っ張ってはじいて笑いをとっていた。

6曲目、マスネ、タイスの瞑想曲
ここらで、タイスかロンドンデリーエアーでもやってくれないかなあと思ってたら、ほんとにそうなった。これは良かった。こういうのがいい。ピアニストもよく合わせていた。

7曲目、クライスラー、美しきロスマリン
これもCDにあるとおり良かった。

ここでプログラムは終わり。この後アンコール
1曲目、ブラームス、Vnソナタ3番、スケルツォ
東欧風というのか、メランコリックな舞曲。

2曲目、成田為三、浜辺の歌、Vn独奏
タイトルはいわなくて良いでしょう、みたいなことをいってひき始めた。やや速いテンポの、半音階を多用したちょっと変わったアレンジだった。本人のものらしい。その場での即興っぽい感じもしたが。これらの小曲は終わるごとに二人で並んで拍手をうけてたのだが、この曲は独奏ということで、ギトリスがしきりに誘っても伴奏者はノーノーみたいな感じで立ち上がらず、座ったまま拍手をしていた。

3曲目、クライスラー、愛の悲しみ
定番曲。後半、名残を惜しむかのように、非常にゆっくりしたテンポで弾いていた。

これが終わった時点で、もう終演だなという感じだったが、聴衆はほとんど残って拍手をしていた。数人が時間の関係か帰ったが、舞台上のギトリスに手を振りながら帰った人もいた(笑)。始まってから、2時間15分ほど。

前にも書いたが、この人の演奏は何か言葉を裏に持って演奏していると思ってたら、今日のパンフレットに、ギトリスの言葉としてそんな事が書いてあったので、引用。

「誰であれ「芸術家」と呼ばれる人間は、何かの物語を伝える能力を持っています。彼が感じ、彼が想像することを語る。芸術家はそれらを胸に秘めていることはできないのです。外に伝えねばならない。だから私は音楽家であって、自分が弾くことに何があるのかなど、考えていません。」

この言葉はギトリスの音楽から受ける印象そのままである。私は彼の演奏を聴いていると、何かを語りかけられていると感じる。他の演奏家ではそんな事はあまりない。曲の善し悪し、有名無名、演奏家の技術の上下、そういうものとは別の何か違うものがある。他愛の無い小曲でも、というかそういう曲だからこそ明瞭に感じる。大曲はむしろいらないとさえ感じる。そういう意味で格別な演奏家である。

ただ、やはりもう90数歳。もはや限界かもしれない。とりあえず実際に生で聞けて良かった。

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ジャンル : 音楽

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